じんせいだね

何も役に立たないブログです

「何もいらないから愛をください」は何もいらなくない

ONE☆DRAFTの『アイヲクダサイ』という曲がある。大切な彼女に振られたけど今でも大好きなんだという曲である。サビがとても耳に残るので、「なにも〜いら〜ない〜から〜愛を〜くだ〜さい〜フ〜フフ〜ン」という感じで記憶している。ここまでで「あ、こいつはONE☆DRAFTのファンではないんだな」ということを察していただけると幸いである。有線でよく流れて居たりするので一度は耳にしたことのある人も多いと思う。先ほどMVを拝見したところ、死神が出てくるというびっくり仰天映像だったので是非見て欲しい。

サビがとても耳に残ると書いたが、本当に耳に残る。サビはこうだ。

 

何もいらないから愛をください

君に届けられるような綺麗な愛を

 

今回は、このサビについてダラダラと書いていく。

 

 

 

「何もいらないから愛をください」とは一体何事だ

いや、ここしかないでしょう。ここしか書くところはない。「何もいらないから愛をください」をわたしはいまいち理解ができないのである。日本語は読める。文庫本も好きだ。一応国語の偏差値も73はある。昔から現代文だけ異様に出来た子供だった。しかしどうしても、どう頑張っても「何もいらないから愛をください」をいまいち理解できないのである。

 

「何もいらないからパンをください」

「何もいらないからMacbook Proをください」

「何もいらないから5億円をください」

こう言われたらみなさんはどう思うだろうか。わたしはこう思う。

 

「いやいや、お前、欲しいんじゃん。」

 

何もいらないって嘘じゃん。ちゃんと欲してるじゃん。何かくださいって言っちゃってる時点で何もいらなくないじゃん。廊下に立ってなさい!

と言う感じでわたしはこの「何もいらないから愛をください」についてずっと頭を悩ませていた。

ここで、かの有名な『翼をください』の歌詞を見ていただきたい。

いま富とか名誉ならば
いらないけど翼がほしい

きちんと「富とか名誉とかはいらないけど、翼は欲しい」と言っている。この場合も「何もいらないけど翼をください」を言われたら、きっと翼を無料配布しているボランティア団体でも「えっ何もいらないんじゃないのかい…?ま、まあ欲しいならあげるが…」と戸惑う。

つまり、「○はいらないけど、△は欲しい」と言いたい場合は、○と△は異なるものではなければ成立しない。「富とか名誉ならばいらないけど翼がほしい」の場合、[富・名誉]と[翼]は異なるものなので成立する。ところが「何もいらないから愛をください」はどうだ。個人的な考えだが、「何もいらない」は「全ていらない」と等しい。したがって、[全て]と[愛]は異なるか?

 

異ならない。

[愛]は[全て]の中の一つだ。決して異ならない。成り立たないのである。

「何もいらない」のであれば、「愛もいらない」ことになってしまう。

 

 

「他には何もいらないから愛をください」なら理解できる

もしかしたらONE☆DRAFTも、最初は「他には何もいらないから愛をください」と歌詞を書いて居たのかもしれない。それなら理解できる。愛以外はいらないから、愛をくれと。住居もご飯もいらない、金もいらないから愛をくれと。5億円当選確実の宝くじを「これタダでお前にやるよ」と言われても、絶対にいらないから愛をくれと。一途にもほどがある。わたしは迷わず5億円を選ぶ。しかし、「他には何もいらないから愛をください」だと、のちのち曲と当てはめていく段階で

「あ〜ここ2文字多いな…」

「他にいらないから、にすれば?」

「いや、何もいらないから、の方が良くない?」

「確かに〜!!(拍手)」

みたいな不具合が発生したのではないか?その結果、「何もいらないから愛をください」となったのかもしれない。それならしょうがない。

そして、この歌を聴く人たちはきっとここにわたしが書いていることなんて全く気にならずに、それぞれ自分の想い人のことを思い浮かべながら、そして涙をこらえながら聞き浸るのだろう。そしてSNSには『アイヲクダサイ』再生画面のスクリーンショットと共に「この歌まぢ泣ける」という投稿がされ、同じく失恋した友人からのいいねや「わかる〜こんど飲みいこ(泣き顔文字)」というリプは瞬く間に集まり、やがて失恋女子会なるものが開催され、都内飲食店が儲かるという仕組みになっているのだ。

 

このように「何もいらないから愛をください」について延々と頭を悩ませた。来る日も来る日もあらゆる文法書を読み漁り、スターバックスMacbookを広げ、その写真をinstagramにアップした。

いいか、考えられる全ての可能性を信じるのだ。答えはきっと目の前にある…。

 

 

『アイヲクダサイ』での時間経過速度はこの世界の86400倍速い

これしかない。これしかないのだ。残されている可能性はこれだけである。

この地球上でこの歌を聞いていれば、「何もいらないから」と「愛をください」の間には1秒もない。だから、聞いてる側としては「何もいらないから愛をください」というひと続きの言葉に感じるが、実際はそうではないのである。そこで、『アイヲクダサイ』の時間経過速度がこの世界の86400倍速いと考えれば、全てが解決する。わたしたちがこの世界で聞いた時の「何もいらないから」と「愛をください」の間の約1秒は、『アイヲクダサイ』の世界では86400秒、つまり24時間であり、「何もいらないから」と「愛をください」の間には1日という時間差がある。

「昨日は何もいらないと思ったけど、やっぱりそれは違う。今日はっきり気づいた。愛が欲しいんだ。」

こういうことである。

 

 

 

 

 

この歌を素直に聞ける時がくることを願う。